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十分後の登場





 十二時を回った。日付は九月二十日。昨日は僕の誕生日だった。
一つ、溜め息を吐く。一角は帰ってこなかった。もう何時間かして僕の前に現れても責め立てたりする気はない。何度目か分からないほど迎えている日であるし、特別に何か欲しいとか、祝ってほしいと言ったわけでもなかった。はしゃぎたてるほど楽しい気分にはなりもしない。
お酌をする相手もなく僕は杯を傾けていた。ひやりと風が頬を撫でるこんなときは、やはり一角の熱が恋しくなるのだ。瞼をゆっくり下ろすと虫の音、木々のざわめき。……そして、感じる霊圧。

「…」

目を開けている間にも近付いてくる。よく知れた霊圧と足場を蹴る音。

「…弓親っ」

一角の登場は穏やかではなかった。颯爽と屋根の上から月を背負って、そして乾いた血にまみれて僕の前に現れた。

「僕の予想より早かったよ」
「今っ何日だっ」
「…二十日」

何だか変な会話だなと意識を飛ばしていると一角が頭を抱えていた。

「一角?」
「あーっ!くそ、すまねぇ、悪気はなかった!」
「何、忘れてる年だってあるじゃない」
「今年は折角覚えてたんだ、祝いたかったんだよっ」

薄ら浮かぶ汗も僅かに上がった息も、出来る限り急いで戻ってきたことを知らせる。それだけで充分だった。

「いいから、ほらお風呂入って早く寝よう。皆寝てるんだから騒がないで」
「っ、けどよ…!」
「いいよ、…ありがとう」
腕を伸ばすと意図を汲み取ったらしい一角が僕の体を抱き締めた。少し下がった体温を一角の熱で補う。嗅ぎ慣れた血のにおいは気にならなかった。

「今日の仕事が終わったら相手してよ」
「おう」

軽々と僕を抱えあげた一角の頬に口付けをする。一角は照れたように笑うと僕の唇へ口付けを返した。

「来年は、一緒に過ごせますように」

大真面目にそう呟いた一角に、僕は思わず笑ってしまったのだった。










弓親誕生日おめでとう…!結局当日には祝えませんでした、なんか情けないぜ自分。


当日アップ予定の絵と漫画が描き終わらなかったので即席で作った小説です。出来は…仕方ないじゃないか、急いでいたんだ!ブログには当日アップできた!

2009.9.20